- 1. 研究の背景
- ヒトパピローマウイルス(HPV)の一部は、がんや尖圭(せんけい)コンジローマ(性感染症のひとつ)、疣贅(ゆうぜい)(皮膚の表面にできる小さないぼ)などの原因となります。わが国におけるHPV感染症対策として、2009年9月に2価HPVワクチン(サーバリクス®)、2011年7月に4価HPVワクチン(ガーダシル®)が承認され、2010年11月より「子宮がん等ワクチン接種緊急促進事業」として広く接種が行われるようになり、2013年4月よりHPVワクチンは定期接種(A類)となりました。
- しかし、HPVワクチン接種後に「広範な(ずきずきとうずくような)痛みや運動障害(力が入らないなどヒトの運動機能における何らかの問題)があらわれた方(以下、「患者さん」といいます)が報告されたことから、2013年6月以降積極的なワクチン接種は差し控えられるようになりました。その後、「子宮頚がんワクチンの有効性と安全性の評価に関する疫学研究:2015-2017年 研究代表 祖父江友孝医師)により、多くの方々が様々な症状に苦しんでいることが明らかになりました。また、同じ研究の「症例フォローアップ調査」では、症状のある51人の患者さんを対象にして、「就学・就労の状況」や「本人の自覚する病気の状態」などに関しても詳細な調査、解析が行われました。しかし、この研究は、観察期間が短かったため、対象となった方々の臨床症状や生活状況の長期的な経過はいまだ明らかでなく、また、様々な症状で苦しんでおられる患者さんに対する社会的支援体制についても十分な検討ができていません。
- 2. 研究の目的及び研究期間について
- 1)研究目的
- 本研究では、HPVワクチン接種後に症状を生じた患者さんにおける、長期的な症状経過や予後、それらの症状による患者さんの日常生活における不具合の程度、医療的・社会的ニーズを縦断的に調査することを目的とします。
- 2)研究期間
- 機関の長による研究実施許可日~西暦2027年03月31日まで。
- 3.研究対象とする症例
- 以下の1)かつ2)にあてはまる方が対象となります。
- 1)日本国内でHPVワクチン接種を受けた後に健康上の不具合が生じた方
- 2)患者自身、もしくは患者本人からの情報収集が不可能な場合には親権者から、研究参加の同意を得られた方
- 4. 目標とする登録者数
- 本研究は探索的な疫学研究であるため、研究参加者が多いほどより精度が高い情報が得られます。可能な限り多くの患者さんの登録を目指しております。法に基づく救済制度で認定を受けた方はのべ326名、前述の大規模疫学調査(祖父江班)における解析対象者は51名であったことを踏まえ、研究期間中に100症例程度の登録を見込んでいます。
- 5. 対象者のリクルート方法
- 以下の救済認定患者さんに対し研究の参加をお願いするパンフレット(文書)を郵送致します。
- 1. 予防接種法における救済認定患者さん(国または市区町村より送付)
- 2. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)*法における救済認定患者さん(PMDAより送付)
- *医薬品医療機器総合機構(PMDA)とは、ワクチンや医薬品/医療機器などによる健康被害を扱う独立行政法人のことです。
- また、厚生労働省委託の研究班(祖父江班)ならびに協力医療機関等の協力を得て、研究への参加を希望される方に対しても、パンフレットを配布します。
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- 6. 参加方法ならびに同意取得方法
- この研究に参加を希望される場合は、患者さん自身(患者さん自身が回答できない場合は、ご両親などの親権者)が、トップページの「アンケート参加をお考えの方へ」のボタンをクリックし、「同意説明文書」へお進みください。内容を十分にご理解いただいたうえで、「同意する」のボタンを押し、E-mailアドレスを登録することでこの研究に参加できます。
- なお、研究参加のご判断は、患者さんの自由な意思で決めることができます。また、この研究へ参加の同意を頂いた後でも、理由に関係なく、いつでもやめることができます。研究への参加をお断りになっても、治療や社会的支援などになんら不利益を受けることはありません。
- 7. 調査方法
- 1) 研究調査項目
- この研究では、ウェブアンケート調査によって以下の項目を継続的に調査します。
- 患者さんの連絡先(電子メール/email/メールアドレス)
- 患者さんの生年月日
- 患者さんの以前の主な病気
- 接種したワクチンの名前と接種した年月日など
- ワクチン接種後に生じた症状の種類(選択形式)、時期、程度など
- 現在の症状と程度
- 治療に関する情報(内容など)
- 入院に関する情報(回数など)
- 日常生活、就労/就学(仕事や学校で勉強するうえでの)困難に関する情報(時期、程度など)
- 医療や社会的支援に対する希望など
- 2)研究調査方法
- 研究調査のためのアンケートは、研究参加に同意をされた患者さん(もしくは、患者さん自身が回答できない場合は、親権者の方)に、登録したメールアドレス宛にウェブアンケートシステムへアクセスできるURLリンクをお送りします。患者さん(もしくは、親権者の方)は、スマートフォン、携帯電話、パソコンなどを使って、ウェブアンケートシステムにアクセスし、質問項目に回答していただきます。初回調査からおおよそ6ヶ月毎に、ウェブアンケートURLをメールアドレスにお送りしますので、患者さん(もしくは、親権者の方)は、定期的にアンケートに答えていただくことになります。アンケートに要する時間は、1回目はおよそ15分程度、2回目以降はおよそ10分程度です。
- 3)データの収集
- ウェブアンケートシステム上で収集した情報は、研究者がウェブシステムにアクセスしてデータ収集を行います。抽出される情報には、個人を特定できる情報は含まれません。
- 8. 研究参加予定期間
- この研究は、西暦2019年3月~2027年3月にかけて行います。患者さんには、同意を頂いた時点で研究に参加していただきます。研究に参加していただく期間は、研究の終了日を予定していますが、研究期間を延長する場合もあります。
- 9. 倫理的事項
- 1)守るべき規則など
- この試験に関係するすべての研究者は「ヘルシンキ宣言」ならびに「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」にのっとり研究を実施します。
- 2)実施医療機関における実施許可の取得
- この研究実施前および研究実施期間中を通じて、各研究実施施設にて開かれる倫理審査委員会において、この研究の実施、継続等について倫理的、科学的及び医学的妥当性の観点から許可を得て行うものとします。研究責任者及び各研究実施施設の研究責任医師は、この研究に関係する文書を倫理審査委員会に提出します。
- 10. 情報の管理、保管、プライバシーの保護
- ウェブアンケートで収集された臨床データは、個人を識別できる情報は含んでいません。患者さんを特定できない状態のデータは、研究責任者の監督の下、解析用コンピューターに厳重に管理・保管されます。その情報にアクセスする権利は、研究責任者と共同研究者に加え、研究責任者が指名した者のみとし、研究グループ以外の第三者には提供しません。患者さんのデータは、匿名化し、研究機関のコンピューターにおいて厳重に保管されます。これらのデータは、定められた期間保管し、保管期限を過ぎた時に、コンピューターから情報を廃棄します。
- なお、研究参加されている方が同意を撤回した場合、その患者さんのデータはサーバー並びに解析用デスクトップPCから消去されます。
- 11. 研究に関する情報の利用、公開について
- この研究により得られた結果は、研究に参加いただいた患者さんの情報を個人が特定されないようにまとめた形で、会議での発表や学術雑誌に載せるなどによって公表される予定です。患者さんのお名前などの個人を特定できる情報が公開されることはありません。また、調査協力施設や関連する行政機関などで、今後の医療や行政の資料として活用させていただく予定です。この研究では、研究で収集した臨床情報をこの研究以外の目的で使用はしません。
- 12.予想される臨床上の利益および不利益/リスクなどについて
- 予想される利益
- この研究に参加することによる、治療上の利益は特にありません。また、研究に参加していただくことで、アンケート初回回答時に4,000円、アンケート2回目以降には2,000円を指定された口座に振り込ませていただきます。
- 予想される不利益/リスクなど
- ウェブアンケートで入力いただいた情報が外部に流出する可能性が考えられます。但し、情報流出に関しては現在使用されている最高レベルの暗号化通信を用い、情報を管理するサーバーには最大限の防護策を取っておりますので、個人情報が流出するリスクはほとんどないと考えております。また、アンケートに答えることにより、緊張感や不安感が一時的に大きくなることがあるかもしれませんが、全体の症状の経過や治療には影響しないと思われます。
- 13.研究に参加される方の費用負担について
- この研究において、患者さんがウェブアンケートに回答する時に生じる通信料などは、患者さんの負担とさせていただきます。
- 14. 研究の資金源等、利益相反(りえきそうはん)*等
- 本研究の実施に必要な費用は、すべて研究責任者が研究代表者を務める厚生労働科学研究費を用いて実施されます。この研究に係る利益相反*は存在しません。
- *利益相反とは
- 研究グループが公の資金以外に製薬会社などからの資金をもらっている場合に、臨床研究が企業の利益のためにされているのではないか、あるいは臨床研究の結果の公表が正しく公平に行われないのではないかといった疑問が生じることがあります。これを利益相反(患者さんの利益と研究グループや製薬企業などの利益が相反しているまたは、衝突している状態)と呼びます。
- 15. この研究の実施体制
- 研究責任者
- 岡部 信彦
- 川崎市健康安全研究所 所長
- 〒210-0821 神奈川県川崎市川崎区殿町3-25-13
- 川崎生命科学・環境研究センター(LiSE)2階
- 研究を実施する医療機関など
- 川崎市健康安全研究所
- 国立成育医療研究センター
- 聖マリアンナ医科大学
- 信州大学
- 大阪大学
- 愛知医科大学
- 研究の業務を委託(依頼)する施設
- (株) 社会情報サービス(ウェブ入力システム構築並びに情報の保守管理)
- 16. 本研究に関するお問い合わせ先
- 本研究に関するお問い合わせは、トップページの「お問合わせ」ボタンよりお願いします。
